Index

965: 緑蔭

緑蔭や卓にマスクと電気ブランりよくいんや

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964: 夏の蝶(三)

夏蝶来彼岸此岸の狭間よりなつてふく ひが

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963: 夏の蝶(二)

なほ絡みくる烏蝶てふ喪章なほからみくる

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962: 夏の蝶

朽果てし病舎の虚や夏小蝶くちはてし びや

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961: 夏の霧

山巓の鳥居をよぎり夏の霧さんてんの とり

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960: 網戸(二)

宵路地の網戸を漏れてリコーダーよひろぢの

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959: 網戸

手枕の小父へ声掛く網戸越してまくらの を

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958: 青葉(再び)

嗚咽ごと拳噛む子や青葉騒をえつごと こぶ

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957: 夏野

夏野来て阿修羅の顔に美少年なつのきて あ

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956: 火取蟲(ひとりむし)

ミロの柄マチスの色の燈蛾かなミロのがら

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955: 蠅(二)

蠅叩不在の蠅を打ち続くはへたたき ふざい

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954:

蠅打つやキンキン蠅が頭に飛ぶ日はへうつや

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953: 夜釣

夜釣して嬉しき外道や大鰈よづりして うれ

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952: 梅雨(三)

梅雨暗黒みんなはバスで何処へゆくつゆあん

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951: 梅雨(二)

梅雨の音に耽り紅樓夢に耽りつゆのおとにふ

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950: 梅雨

梅雨寒しネオンの文字に深海魚つゆさむし

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949: 青葉(二)

人声や青葉のつつむ常夜燈ひとごゑや あを

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948: 青葉

いづれ吾を焼く火葬場の青葉かないづれあを

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947: 五月闇(二)

五月闇鬼畜の夢の臙脂なるさつきやみ きち

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946: 五月闇

五月闇異形のわれをつつみけりさつきやみ

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945: 夏帽子

夏帽を乗せて上目で見て少女なつばうをのせ

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944: 蛇(二)

水の郷小舟に蛇の並びゆくみづのさと こぶ

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943:

田鏡の虚空に浮きて赤楝蛇たかがみの こく

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942: 五月雨(二)

五月雨にけぶりて宙へポンポン船さみだれに

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941: 五月雨

獄沿ひの名もなき路もさみだれてごくぞひの

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940: 螢(二)

螢吹雪鬼籍のひととすれ違ふほたるふぶき

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939:

螢火の帷に入るや沈下橋ほたるびの とばり

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938: 紫陽花(二)

うすあをの数枚を容れて白あぢさゐうすあを

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937: 紫陽花

あぢさゐの毬をよけゆく小径かなあぢさゐの

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936: 雨蛙

雨蛙木魚の音の声で鳴くあまがへる もくぎ

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935: 時の記念日

時の日やボロ句を捏ねる金の刻ときのひや

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934: 短夜(二)

明易し廊に刑吏の靴の音あけやすし らうに

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933: 短夜

みじか夜にわんわか鳴らせオートバイみじか

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932: 祭(二)

額の血を鼻で分けたり神輿舁ぬかのちを は

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931:

祭太鼓をんなは撥と髪で打つまつりだいこ

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930: 時鳥(ほととぎす)

ほととぎすなくや真闇に漁りの燈ほととぎす

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929: ひつこく 山女

銀鱗のルアーを追ひ来尺山女ぎんりんの ル

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928: 山女(二)

大山女瀬瀬の滾りの真空におほやまめ せぜ

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927: 山女(やまめ)

瀬明りのそこだけ暗し山女の斑せあかりの

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926: 更衣(ころもがへ)

更衣マスクに旬の顔埋めてころもがへ マス

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925: 若葉

釣りのぼる早瀬を挟み谿若葉つりのぼる は

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924: 牡丹

紅一つ足せば崩るる牡丹かなこうひとつ た

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923: 万緑(二)

万緑や湖へと続く風の道ばんりよくや うみ

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922: 万緑

万緑やハモニカ鳴れる二階窓ばんりよくや

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921: 新緑(二)

双葉三つ萌えて大新緑の底ふたばみつ もえ

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920: 新緑

新緑の扉を開けて浅間嶺へしんりよくの と

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919: 五月

たんたんとレジ打つ人よ聖五月たんたんと

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918: 母の日

母の日の母ゴキゲンにぷつつんすははのひの

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917: 行春(ゆくはる)

球音のせぬ校庭や春終るきうおんの せぬか

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916: お知らせ

【お知らせ】本ブログ、諸般の事情により、

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915: 桜花(六)

片岨から海へ乗りだし老桜かたそから うみ

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914: 桜花(五)

高畦の奥に小祠大桜たかあぜのおくに こぼ

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913: 桜花(四)

蛸ウィンナー五杯立たせて花見かなたこウィ

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912: 桜花(三)

人形の瞳の青や花の月にんぎやうの ひとみ

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911: 桜花(二)

ひとひらも散らぬさくらの重さかなひとひら

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910: 桜花

御遺体は裏より出され花の朝ごゐたいは う

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909: 甘茶

どことなくアトムの顔よ甘茶仏どことなく

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908: 春の日(二)

おやけふは十四の刻の春の陽だおや けふは

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907: 春の日

春の日となつて出でたりルドンの目はるのひ

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906: 麗か

うららかや格子戸いづる下駄の音うららかや

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905: 陽炎(二)

かげろふの脈打つ方へオートバイかげろふの

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904: 陽炎(かげろふ)

かげろひてゐる町に来てかげろへりかげろひ

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903: 霞(二)

海と日と霞みて葬の一区切うみとひと かす

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902:

鈴の音や遠嶺へつづく八重霞すずのねや と

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901: 春泥

春泥が春泥押して場末坂しゆんでいが しゆ

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900:

花すみれ鉄路の石の隙間よりはなすみれ て

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899: 春雨

城山の翠を透かし春雨傘しろやまの みどり

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898: 初桜

梵鐘の音のをんをん初ざくらぼんしようの

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897: 鳥雲に入る

たなびけるけぶりとなりて鳥雲にたなびける

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896: 鳥帰る

帰りなんいざ鳥どもは北を向きかへりなんい

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895: 春の土

野鴉のまろびて羽搏つ春土かなのがらすの

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894: 竜天に登る

龍天に昇るサイレン鳴り止まずりゆうてんに

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893: 蒲公英(たんぽぽ)

海に耳澄ます廃家や鼓草うみにみみすます

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892: 春炬燵

等身大人形二体春炬燵とうしんだいにんぎや

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891: 白子

生白子あつけらかんの死のうまきなましらす

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890: 彼岸

ぼたもちをどうでも食へと彼岸婆ぼたもちを

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889: 山笑ふ

勃起してきたと寝釈迦の山笑ふ「ぼつきして

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888: 椿(二)

椿落つ一つ三つ三つまた一つつばきおつ ひ

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887: 椿

森の池椿の首のあまた浮くもりのいけ つば

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886: 卒業

袴ブーツぎゆぎゆつと鳴らし卒業すはかまブ

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885: 枝垂桜(しだれざくら)

バサマ等のお堂を隠し紅枝垂バサマらの お

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884: 春雷(二)

春雷や闇に人形春子彳つしゆんらいや やみ

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883: 春雷

春雷が平手でたたき夜の海しゆんらいが ひ

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882: 山焼く

山焼かるカルストの岩諸共にやまやかる カ

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881: 梅(四)

音割れのチャイムを鳴らし梅花村おとわれの

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880: 梅(三)

紅梅やパアパと呼ばるおままごとこうばいや

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879: 梅(二)

あひ触れしままの枝垂や紅白梅あひふれしま

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878:

たくあんと番茶をよばれ梅の家たくあんと

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877: 啓蟄(三)

蟇いでて空の青さに気絶せりひきいでて そ

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876: 啓蟄(二)

蜥蜴穴をいでてしの字に甃のうへとかげあな

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875: 啓蟄

啓蟄の土に嘴刺し群鴉けいちつの つちには

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874: いぬふぐり

星つぶの鈴ふりあひていぬふぐりほしつぶの

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873: 雛(二)

雛の燭水子の夢を点しけりひなのしよく み

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872:

古ひひな掻傷ほどの目の笑めるふるひひな(

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871: 余寒

水切つて束子に残る余寒かなみづきつて た

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870: 冴返る(さえかへる)

冴えかへるスラムの丘や残照にさえかへる

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869: 残雪

雪形の観音立てり巌襖ゆきがたの くわんお

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868: 鶯(うぐひす)

全山の青しんしんと初音かなぜんざんの あ

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867: 雪間

生まるとは顔をだすこと雪間草うまるとは

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866:

いつぽんの死樹の突つ立つ氷湖かないつぽん

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865: 凍蝶(三)

樹の皮の捲れにひそみ凍揚羽きのかはの め

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864: 凍蝶(二)

片翅の凍蝶風にたふれけりかたはねのいてて

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863: 凍蝶

さかさまに並む凍蝶や岩庇さかさまになむ

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862: 雪女郎(四)

ふと気配してふりむけば雪をんなふとけはい

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861: 雪女郎(三)

雪をんな夜汽車を降りて暗黒へゆきをんな

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860: 雪女郎(二)

ムラの燈に見とれてをりぬ雪をんなムラのひ

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859: 雪女郎

雪をんな雪にはだしの跡残しゆきをんな ゆ

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858: 雪(七)

荒濤を吹雪に喰はせ日本海あらなみを ふぶ

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857: 雪(六)

どか雪や素足にミニといふ美風どかゆきや

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856: 雪(五)

禽なにを視認したるや雪無尽とり なにをし

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855: 雪(四)

行手みな地吹雪巻けりわが迷路ゆくてみな

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853: 雪(三)

緋の雪のしづりて金の闇深しひのゆきのしづ

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854: 雪(二)

汽罐車のけぶりを混ぜて雪吹雪きくわんしや

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851:

降る雪やしやらしやら廻る後生車ふるゆきや

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850: 風花(三)

あかねさす日や風花の四阪島あかねさすひや

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852: 風花(二)

モノクロの昭和の刻が風花すモノクロの せ

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849: 風花

風花のつうと降らしぬ静心かざはなの つう

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848: 侘助(わびすけ)

侘助侘ぶ脂ぎつたる葉の中にわびすけわぶ

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847: 悴む(かじかむ)

夕闇やかじかむ生とかじかむ死ゆふやみや

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846: 寒厨(かんちゆう)

土間下駄のくわんくわん鳴りて寒厨どまげた

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845: 立春

春立つや濃墨の雲に三四禽はるたつや こず

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844: 追儺(つひな)

鬼のをんなをんなの鬼をやらひけりおにのを

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843: 春隣(二)

リズム良きミシンの音や春隣リズムよき ミ

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842: 春隣(はるとなり)

電飾の狂騒終はる春近しでんしよくの きや

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841: 寒夕焼(二)

寒夕焼ガラスの割れる音がしてかんゆふやけ

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840: 寒夕焼

前の世の罅より洩れて寒夕焼さきのよの ひ

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839: 凍る(四)

闇凍ててまた孟宗の破裂音やみいてて また

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838: 凍る(三)

凍窓に肩見せ赤きキャミソールいてまどに

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837: 凍る(二)

凍道を帰るお骨を抱き帰るいてみちをかへる

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836: 凍る(こほる)

藁屋根にほのかな湯気や朝日凍つわらやねに

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835: 水仙

八方に小さき叫びを水仙花はつぱうに ちさ

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834: 狐火

片時雨してせぬ方は狐火ぞかたしぐれして

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833: 冬の星

巻貝のしつぽが指しぬ寒北斗まきがひの し

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832: 霙(みぞれ)

霙るるや橋より棄つるラブドールみぞるるや

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831: 冬の月

寒月を仰ぎて路地の酔ひだふれかんげつをあ

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830: 熱燗

どなたかのやうに頰杖つき熱燗どなたかのや

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829: 障子

昼酒や障子に揺るる水明りひるざけや しや

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828:

夕鴨の寄りては離る浮寝かなゆふがもの よ

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827:

白梅や天没地没虚空没    永田耕衣○1月

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826: ふとん

いつか死ぬことが怖くて蒲団の子いつかしぬ

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825: 山眠る

雑魚寝せる山に眠らぬ山一つざこねせるやま

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824: 冬ざれ(二)

冬ざれや踏切にまた新地蔵ふゆざれや ふみ

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823: 冬ざれ

煮玉子に紛ふ入日や冬ざれ野にたまごに ま

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822: 寒鮠(かんばや)

羽音してたちまち嘴に寒の鮠はおとして た

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821: 北風

立テ看に緋文字の「有理」北荒ぶタテかんに

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820: 天氣

     天氣(覆された寶石)のやうな朝

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818: 霜(二)

一山を研ぎたる霜や朝日影いつさんを とぎ

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817:

この道や濃霜を詰めて深轍このみちや こじ

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816: 七種粥(ななくさがゆ)

七日粥啜るあを濃きところよりなぬかがゆす

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815: 初年兵入営

殴られぬことがおそろし入営夜なぐられぬ

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814: 手毬

死美人と手毬を指して探偵はしびじんと て

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810: 春着(二)

春着着てVサインしか能なきやはるぎきて

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809: 春着

三人子をなして深緋の春着かなみたりごをな

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808: 二日

琴の爪二日の琴を滑りゐることのつめ ふつ

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807: 新年

年立つや青の時代に入る句境としたつや あ

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805: 除夜

客一人奏者一人ぞ除夜のジャズきやくひとり

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804: 年の瀬

年の瀬にぽかりと浮ぶ昭和かなとしのせに

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803: 行年

行年や煙脂に黄ばむ指二本ゆくとしや えん

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802: 初雪

初雪や豚頭茹でてラーメン屋はつゆきや と

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801: 年の暮(二)

わが肉のさらに透きゆく歳暮かなわがししの

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800: 年の暮

叔母の棲む病室暗し年の暮をばのすむ びや

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799: 冬の蠅

蓬髪のイエスの額や冬の蠅ほうはつの イエ

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798: クリスマス・イヴ

聖菓そつと水子地蔵に供へけりせいくわそつ

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797: 師走

静子来て茉莉と諍ふ師走かなしづこきて ま

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796: 冬至

排泄の母抱へをり冬至の日はいせつの はは

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795: 屏風(二)

僧坊や屏風に其角芭蕉の句そうばうや びや

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794: 屏風

金屏に薄日を入れて蟲小窓きんびやうに う

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793: 息白し

荒海に酒息白き漢かなあらうみに さかいき

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792: 枯蓮(二)

蓮枯れて水上水下ゲルニカにはすかれて す

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791: 枯蓮(かれはす)

池心まで水鏡して蓮の骨ちしんまで みづか

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790: 白鳥

白鳥の番ひの並むる孤影かなはくてうの つ

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789: 雑炊(二)

背嚢のずしりと重きまま雑炊はいなうの ず

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788: 雑炊

韮雑炊馬齢の愚痴の吹きこぼるにらざふすい

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787: おでん(二)

うはばみのをんなと酌みておでん酒うはばみ

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786: おでん

獅子鼻のをんなと訣れおでん酒ししばなのを

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785: 冷たし

底冷えを抜きては畳みエアドールそこびえを

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784: 寒さ(二)

屈葬のかたちで眠る寒さかなくつさうの か

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783: 寒さ

寒いかと聞けばいいえと半ずぼんさむいかと

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782: 冬の暮

病廊へ寒暮をつれて配膳車びやうらうへ か

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781: 冬紅葉

巨巌の聴きゐる瀑や冬紅葉おほいはの きき

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780: 時雨(五)

しぐれゆくもののひとつとなりにけり○時雨

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779: 時雨(四)

しぐるるや二階の窓にカフカの目しぐるるや

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778: 時雨(三)

しぐるるや尻向けあひて鴉二羽しぐるるや

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777: 時雨(二)

無蓋貨車しぐれの闇を曳かれをりむがいくわ

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776: 時雨(しぐれ)

薄墨に濁れる寺や大時雨うすずみに にごれ

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775: 凩(こがらし)

凩や狂女の棲める離れ蔵こがらしや きやう

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774:

味噌カツは素直に不味し冬の旅みそカツは

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773: 落葉

薄ら日や落葉に降れる落葉松葉うすらびや

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772: 紅葉(一一)

紅葉且つ散つてをんなの鬼舞へりもみぢかつ

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771: 紅葉(一〇)

緋鳥居の緋を掴まんと大楓ひとりゐの ひを

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770: 紅葉(九)

あえかなる翠を散らし櫨紅葉あえかなる み

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769: 紅葉(八)

姨捨の日は近づけり照紅葉をばすてのひは

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768: 紅葉(七)

老嬢と家とはひとつ蔦紅葉らうぢやうと い

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767: 紅葉(六)

もみぢ寺京のものみな疎ましきもみぢでら

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766: 紅葉(五)

緋の鯉が裂きて紅葉の水鏡ひのこひがさきて

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765: 紅葉(四)

嘴太の羽の艶艶し夕紅葉はしぶと(ハシブト

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764: 紅葉(三)

濃紅葉へ六仏吐きて空也かなこもみぢへ ろ

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763: 紅葉(二)

方丈の紅葉の赫や駅広場はうぢやうの もみ

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762: 紅葉

燧灘もみぢの島をならべたりひうちなだ も

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761: 石蕗の花(三)

石蕗活けてなほそこはかとなく潮音つはいけ

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760: 石蕗の花(二)

石蕗の花濤がこれでもかと寄せ来つはのはな

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759: 七五三

子毬より母毬跳ねて七五三こまりより はは

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758: 石蕗の花

朝鮮の花石蕗見たし入日海てうせんの はな

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757: 神無月

くらがりへ麗子微笑す神無月くらがりへ れ

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755: 桜紅葉

緋が足りぬ桜紅葉よもつと狂へひがたりぬ

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754: 冷まじ(二)

冷まじやあの家この家の地獄絵図すさまじや

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756: お知らせ

○お知らせつたないブログをいつもご訪問い

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753: 冷まじ

冷まじや灰に落ちたる針の音すさまじや は

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752: 身に入む

身にしむや廃市にひびく夕汽笛みにしむや

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751: 立冬 芭蕉忌

冬迎ふまだ枯れきれぬ向日葵とふゆむかふ

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750: 行秋

讃岐路に行秋一つ海一つさぬきぢに ゆくあ

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749: 薄紅葉

丼のウォッカに浮かべ薄紅葉どんぶりの ウ

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748: 秋の暮

秋夕や跳ねて湖打つ陸封魚しうせきや はね

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747: 夜寒

ピーポーの音のとほのく夜寒かなピーポーの

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746: 秋時雨

 ブ イ浮標に彳つはぐれ鴉や秋時雨ブイに

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745: 秋深し(二)

死病得しひとがくすくす秋ふかししびやうえ

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744: 秋深し

眠りつつすすり泣く妻秋ふかしねむりつつ

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743: 鵙(三)

鵙の贄見て小勃起して少年もずのにへみて

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742: 鵙(二)

鵙日和枝刺しの贄のよく乾ぶもずびより え

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741: 鵙(もず)

鵙高音鋼の空を裂きにけりもずたかね はが

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740: 貴船菊(秋明菊)

秋明菊黄泉路に沿ふて点りをりしうめいぎく

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739:

過疎の地の柴栗を詰め稲荷鮨くわそのちの

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738: 秋風

アンニュイや嘘より立ちて秋の風アン。。。。。

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737: 秋の雨(二)

バスを待つ間の角打ちぞ秋黴雨バスをまつま

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736: 秋の雨

ピアノ弾く指にも似たり秋雨の輪ピアノひく

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735: 秋の滝

サンクワむかし宿りしことも秋の瀑サンクワ

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734: 秋の山

秋山に白雲二つ翳二つしうざんに しらくも

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733: 秋の空

鳥影の滓がいつぱい秋の空とりかげの かす

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732: 刈田

刈り終へし棚田の底や瀬戸の海かりおへし

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731: 秋夕焼(三)

裏山をつつむ鴉や秋落暉うらやまを つつむ

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730: 秋夕焼(二)

をみなみな般若の顔に秋夕焼をみな(女)み

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729: 秋夕焼(あきゆふやけ)

原爆のドームと見せず秋夕焼げんばくの ド

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727: 霧(三)

雲霧の鷲掴みせり山二つくもきりの わしづ

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728: 霧(二)

たえだえの狭霧に透くる渡舟かなたえだえの

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725:

川霧の澱みを抜けて沈下橋かはぎりの よど

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723: 後の月

瀬の音も真青に澄めり十三夜せのおとも ま

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722: 秋の雲

風鐸や虚空を梳きて秋の雲ふうたくや こく

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721: 蟲(三)

暗黒の空より降り来蟲しぐれあんこくの そ

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720: 蟲(二)

蟲の音の巨海に浮きて歩道橋むしのねの こ

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719:

蟲の音の沁む目薬であることよむしのねの

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718: 秋祭

このごろは死人も出でず秋祭このごろは し

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717: 水澄む

水澄むや魚卵に透ける目と心臓みづすむや

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716: 萩(二)

かたつぽは海かたつぽは零れ萩かたつぽはう

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715:

おもひだし笑ひに震へ枝垂萩おもひだしわら

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714: コスモス(三)

コスモスの野を乳のいろに夕あかねコスモス

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713: コスモス(二)

室戸岬  コスモスや虚空は海と相似形コス

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712: コスモス

廃駅のホームを浮べ秋桜はいえきの ホーム

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711: 秋の燈(二)

抜裏に点きては消えて秋燈ぬけうらに つき

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710: 秋の燈

秋の燈をつましく並べ向島あきのひを つま

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709: 曼珠沙華(四)

曼珠沙華触れなば夢魔も消ゆるべしまんじゆ

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708: 曼珠沙華(三)

ひがんばな鴉の落し羽を咥へひがんばな か

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707: 曼珠沙華(二)

曼珠沙華地獄を混ぜて夕浄土まんじゆしやげ

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706: 曼珠沙華

緋の闇にきらめきて白曼珠沙華ひのやみに

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705: 秋彼岸

ペット秋彼岸供養のチーズかなペットあきひ

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703:

山一つ孕みてをりぬ露の玉やまひとつ はら

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704: 秋簾

路地裏やくの字に割れて秋簾ろぢうらや く

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702: 秋の海(二)

秋海に演歌を鳴らし遊覧船しうかいに えん

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701: 秋の海

うつ伏しのボートを並べ秋の浜うつぶしの

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700: 宵闇

舷窓に少女の顔や宵闇へげんさうに せうぢ

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699: 秋思(二)

秋思また「いかん」「いかん」と独り言しう

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698: 秋思

電球をひねりて消せる秋思かなでんきうを

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697: 野分

野分聴きをり盲牌の指の腹のわきききをり

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696: 十六夜(いざよひ)

燧灘いざよふ月を波に溶くひうちなだ いざ

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695: 名月

ラリパッパして聴くけふの月の音ラリパッパ

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694: 待宵

待宵や金波の溜る島港まつよひや きんぱの

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693: 秋の夜

スケボーの少女や秋の夜を流るスケボーのせ

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692: 稲妻

いなづまや車窓を這へる雨の紐いなづまや

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691: 残暑(三)

秋暑し天日に眠る無蓋貨車あきあつし てん

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690: 残暑(二)

どつさりと残る暑さや母の家どつさりと の

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689: 残暑

ボロ鳥が銜へて振れる残暑かなボロどりが

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688: 蜩(二)

かなかなや朝日のあたる朝日楼かなかなや

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687: 蜩(ひぐらし)

かなかなや池心にひらく青水輪かなかなや

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686: 法師蟬(つくつくぼふし)

つくつくぼふしけふも坊主の竿仕舞ふつくつ

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685: 朝顔(二)

廃港を喰ひつくしてや牽牛花はいかうを く

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684: 朝顔

錆びて彳つ手押しポンプや野朝顔さびてたつ

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683: 木槿(むくげ)

夕波や風にめくるる白木槿ゆふなみや かぜ

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682: 線香花火

手花火の消えて廃市の水の音てはなびのきえ

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681: 星月夜

星月夜吾を吸ひあげて吸ひつくせほしづくよ

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680: 夕焼

一点の日と一線の海 夕焼いつてんのひと

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679: 茗荷の子

武満徹の苦味を残し茗荷の子たけみつとほる

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678: 晩夏(二)

夏了るメトロノームの針折れてなつをはる

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677: 晩夏

エンジンを切ればかんかん鳴る晩夏エンジン

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676: 納涼(すずみ)

かたつぽの下駄は裏向き涼み台かたつぽの

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675: 端居

厠へとをんな端居を通りぬくかはやへと を

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674: 炎天(四)

こみあげしもの炎天の路地に凍つこみあげし

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673: 炎天(三)

砂山は無音夏日は金属音すなやまはむおん

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672: 炎天(二)

持て余すわが屹立や炎天下もてあます わが

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671: 炎天

炎昼や真横に動くカラスの眼えんちうや ま

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670:

手窓より入りて奥間へ盆の蝶てまどよりいり

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669: 踊(をどり)

踊下駄笛の息つぐとき鳴らしをどりげた ふ

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668: 生身霊

来年は居りまつせんと生身霊「らいねんは

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667: 精霊舟

盆舟に火のつけられし池心かなぼんぶねに

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666: 八月 盆の月

八月や鉄砲持つて征かんならんはちぐわつや

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665: 施餓鬼

お施餓鬼や冥きにゆれる水あかりおせがきや

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664: 門火

リカちやんを二つ立たせて門火焚リカちやん

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663: 墓参

とほく来て居留守の墓を参りけりとほくきて

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662: 岐阜提燈

岐阜提燈かの世の色を闇に溶くぎふぢやうち

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661: 草いきれ

草いきれ廃寺の瓦より落ち来くさいきれ は

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660: 灼くる

常照院殉邦義勲居士の墓灼けりじやうせうゐ

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659: 立秋

廃坑やけさの蟬鳴くけさの秋はいかうや け

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658: 天の川

銀河濃し銀河の塵のわれの目にぎんがこし

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657: 蟬(三)

空蟬に寄り添ふ蟬の骸かなうつせみに より

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656: 蟬(二)

おやけふは件の蟬が苦にならぬおや けふは

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655:

朝蟬の一つたちまち蟬しぐれあさぜみのひと

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654: 旱(ひでり)

肥溜の上澄み板となる旱こえだめのうはずみ

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653: 片蔭

片蔭にハモニカ鳴らし傷痍兵かたかげに ハ

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652: 空蟬

そこはかとなく空蟬に透きて森そこはかとな

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651: 日焼

日焼子の剥き出しの尻の白さかなひやけしの

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650: 熱帯夜

しののめになほ蠢きて熱帯夜しののめに な

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649: 昼寝(二)

お昼寝やをんなにもある臍の胡麻おひるねや

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648: 昼寝

だらり寝の仔犬をずらし三尺寝だらりねの

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646: 香水

香水十滴ひつつめ髪に紅をさしかうすいじつ

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647: 極暑

ゲートルを捲かれ極暑の軍人墓ゲートルをま

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645: 羅(二)

うすものや絞めたきほどに長き首うすものや

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644: 羅(うすもの)

羅のつつみてゆかし嗄れ声うすものの つつ

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643: 梅雨明

女生徒の図書館占拠梅雨あがるぢよせいとの

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642: 網戸

路地裏の網戸に透けて地獄絵図ろぢうらの

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641: 雲の峰(二)

どでんと山どでんどでんと雲の峰どでんとや

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640: 雲の峰

雲の峰あまたの死者を打重ねくものみね あ

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639: 鱧(はも)

釣られ鱧舟綱咬みて狂ひをりつられはも ふ

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636: 焼酎(せうちう)

千手観音千のカップでカストリをせんじゆく

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637: 日日草

歳とらぬ写真のをんな日日草としとらぬ し

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634: 麦酒

ビール干す水平線を傾けてビールほす すい

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633: 登山

登山汽車マルグリットの目に油煙とざんぎし

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632: 夏服

支那蕎麦をどしんと置けりアッパッパしなそ

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631: 雷(かみなり)

死とはこの闇か雷のあとしとはこのやみか

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630: 百合(二)

月饐る百合の蕾を勃たせつつつきすえる ゆ

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629: 百合

鬼百合に鬼の匂ひの優しかりおにゆりに お

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628: 暑さ

女体より転げて離る暑さかなによたいより

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627: 夏木立

首吊の輪つかを垂らし夏木立くびつりの わ

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626: 青葉

青葉てふボロギレ海へ垂れてをりあをばてふ

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625: 風薫る

薫風と妊婦と乗り来一輛車くんぷうと にん

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624:

夜雨聴く我一匹と蠅一人よさめきく われい

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623:

目ひらきて鰺捌かるを待ちてをりめひらきて

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622: 五月雨(二)

五月雨や雲かとまがふ遠雪嶺さみだれや く

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621: 五月雨(さみだれ)

さみだるる大路に水輪ちりばめてさみだるる

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620: 梅雨(四)

梅雨晴の雫や瑠璃の地球玉つゆばれのしづく

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619: 梅雨(三)

雨筋の太きを流し梅雨の傘あますぢの ふと

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618: 梅雨(二)

下校する黄傘の列や梅雨楽しげかうする き

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617: 梅雨

大の字に寝て打たれたし男梅雨だいのじに

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616: 五月闇(二)

五月闇なにかが水をすべりくるさつきやみ

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615: 五月闇

五月闇少女のやうな妻のこゑさつきやみ せ

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614: 螢(三)

螢火の乳を流しけり仁淀川ほたるびの ちを

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613: 螢(二)

孟宗の青より青し昼ぼたるまうそう(孟宗竹

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612:

良寛の筆のみだれか螢の火りやうくわんの

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611:

水しづかあまたの蛇を浮かせゐてみづしづか

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610: 夏至

院食に酢蛸の饗や夏至夕ゐんしよくに すだ

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609: 茂(二)

茂る中茂る恥毛を見しこともしげるなか し

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608: 夏草

夏草や孤独死なせる家一つなつくさや こど

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607: 夏野

菩提寺のごりよんが過ぐる夏野かなぼだいじ

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606: 茂(しげり)

少年のソプラノ弾けゐる茂せうねんのソプラ

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605: 火取蟲(二)

赤光に大蛾の狂ふしづかさよしやくくわうに

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604: 火取蟲(ひとりむし)

蛾の群の一つが爆ずる炎舞かながのむれの

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603: 紫陽花(二)

あぢさゐの毬ついてをりわが水子あぢさゐの

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602: 紫陽花

無為の目の紫陽花ばかり追ふ日かなむゐのめ

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601: 短夜(二)

短夜の夢のいもうと刑場へみじかよの ゆめ

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599: 短夜(みじかよ)

裏畑に鍬打つ音や明易しうらはたに くはう

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596: 薔薇(三)

薔薇の緋に女体の白を想ひけりばらのひに

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600:   

虐待や

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595: 薔薇(二)

堕天使や薔薇には要らぬ花言葉だてんしや

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594: 薔薇

薔薇一輪持つて清しや病衣の子ばらいちりん

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593: 若葉(二)

少年や若葉の翳の透く若葉せうねんや わか

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592: 若葉

少年のあつと漏精して若葉せうねんの 「あ

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591: 薄暑

その小さき鼻つまみたし夕薄暑そのちさき

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590: 罌粟の花

罌粟ひらく大暗黒に光得てけしひらく だい

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589: 新茶

なまぐさき少女の匂ふ新茶かななまぐさき

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588: 山女(三)

白目を曝し塩焼の尺山女しろめをさらし し

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587: 山女(二)

ルアー追ひ来修験の谿の大山女ルアーおひく

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586: 山女

入れかはり立ちかはりして瀬の山女いれかは

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585: 卯の花(二)

卯の花や一夜をぬぐふ朝茜うのはなや いち

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584: 卯の花

卯の花の小径やわれの凱旋門うのはなのこみ

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583: 桐の花(二)

花桐や自瀆を知らぬ子の自瀆はなきりや じ

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582: 桐の花

刺すために削ぐ鉛筆や桐の花さすために そ

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581: 卯波(うなみ)

外つ国の朝より寄せ来夕卯波とつくにの あ

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580: 牡丹(五)

牡丹花の崩るる気配して真闇ぼたんくわの

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579: 牡丹(四)

緋牡丹や聊齋志異を繙く夜ひぼたんや れう

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578: 牡丹(三)

白牡丹花唇に白き翳宿しはくぼたん くわし

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575: 牡丹(二)

阿と吽の息をととのへ白牡丹あとうんの い

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577: 牡丹

一ト茶席ごとに膨らむ牡丹かなひとちやせき

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576: 余花

余花なほも一枝は花の盛りなりよくわなほも

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574: 五月

おほらかを気取る絵手紙来て五月おほらかを

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573: 藤(二)

沼鏡して藤房は空へ垂れぬまかがみして ふ

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572:

藤の棚宇宙の星をみな吊しふぢのたな うち

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571:

グイ呑みの底より湧きぬ遠蛙グイのみの そ

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570: 春の夢(二)

春の夢だれか迎へに来たやうなはるのゆめ

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569: 春の夢

春の夢自刃せし雄の呵呵大笑はるのゆめ じ

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568: 春愁

夢精せる日にはじまれりわが春愁むせいせる

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567: 春の波

まさらなる白衣を畳み春の濤まさらなる び

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566: 春の海

濤音にとろみの増して春の海なみおとに と

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565: 春の夜

なきがらを盥に洗ふ千金夜なきがらを たら

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564: 朧(おぼろ)

おぼろ夜の下駄は勝手に鳴りにけりおぼろよ

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563: 春灯(しゆんとう)

籠りゐるひとの気配を春燈こもりゐる ひと

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562: チューリップ

チューリップ孔雀の羽のやうに活けチューリ

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561: 立夏

夏立つやチャラ瀬に光る陸封魚なつたつや

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560: 行春

行春や五つ六つほど山の音ゆくはるや いつ

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559:

コップてふ似合ひの花器を得て薊コップてふ

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558: 鞦韆(しうせん)

ぶらんこの宙にあるとき河の上ぶらんこの

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557: 朝寝

うまさうに莨をのんで朝寝妻うまさうに た

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556: 春昼(二)

春昼や片羽のとれし老天使しゆんちうや か

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555: 春昼

春昼や仕舞屋並ぶ蔵の町しゆんちうや しも

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554: 蝶(二)

じやんけんぽん藍子は蝶と海へゆくじやんけ

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553:

ひとなつこい蝶ちよだもしかして君かひとな

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552: 春光

春光の大海原を入れて窓しゆんくわうの お

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551: 麗か

春うらら墨絵の裸婦が立ちあがるはるうらら

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550: 長閑(のどか)

のどかさの果てより来り空電車のどかさの

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549: 落花(三)

吹き込める花シューマンの譜を消しぬふきこ

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546: 落花(二)

目ひらきて人形浮くや花筏めひらきて にん

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545: 落花

水速しつるりつるりと花の塵みずはやし つ

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543: 花見(二)

をんな花に倦みたる顔のあからさまをんな

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542: 花見

僕つて何つて何を言つてる花見酒「ぼくつて

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541: 桜(六)

黄泉路いま桜の森に差しかかるよみぢいま

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540: 桜(五)

人焼いて骨揚までの桜かなひとやいて こつ

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539: 桜(四)

薄墨の瘴気を吐きて八重桜うすずみの しや

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538: 桜(三)

闇に醒む雨戸を繰れば夕桜やみにさむ あま

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537: 桜(二)

逢ひ見てののちの別れもさくらかなあひみて

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536:

露地黒むまで磨きあり夕桜ろぢくろむまで

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535: 花(五)

花影やきやらきやら笑ふ美少年はなかげや

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534: 花(四)

花の雲に浮きつ沈みつわが病舎はなのくもに

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533: 花(三)

紅旗征戎非吾事 花に立つこうきせいじゆう

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532: 花(二)

屋根屋根の向かふは海ぞ花の坂やねやねの

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531:

麻酔まだ醒めざる妻や花の雨ますいまだ さ

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529: 甘茶

甘茶仏天冠の稚児目を寄せてあまちやぶつ

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528: 春暁(しゆんげう)

はるはあけぼの橋から唾を吐くをんなはるは

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527: 花冷(二)

花冷えてぬけられますがぬけられぬはなびえ

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526: 花冷

花冷やすらすら書ける鬱てふ字はなびえや

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525: 遅日

わが翳の立ちて逃げゆく遅日かなわがかげの

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524: 春の山

郎女を追ふ郎子よ春の山いらつめを おふい

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523: 春の日

春の日に二針を垂らし大時計はるのひに に

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522: 四月馬鹿

ここにおれがゐるてふエイプリルフール

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521: 竜天に登る

鳴りやまぬ柱時計や龍天になりやまぬ はし

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520: 木の芽

木の芽して昼酒またも句を逃すこのめして

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519: 春蘭

春蘭の息吹に翳したなごころしゆんらんの

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518: 椿(二)

大牛の背にどしと落つ椿かなおほうしの せ

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517: 椿

杣道に緋を腐らせて落椿そまみちに ひをく

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516:

朝霞大富士の裾太らするあさがすみ おほふ

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515: 如月

きさらぎや小さき者の小さき死きさらぎや

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514: 母子草

ゆきすぎてのちにそれかと母子草ゆきすぎて

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513: 雲雀(二)

朝帰り雲雀の声の容赦なきあさがへり ひば

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512: 雲雀

田雲雀や立ちて寂びゆく軍人墓たひばりや

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511: 涅槃

涅槃絵図みな号泣を競ひあふねはんゑづ み

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510: 帰る雁(かへるかり)

白雲の深みに沈む帰雁かなしらくもの ふか

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509: 鳥雲に入る

雲に鳥池心の舟は腹みせてくもにとり ちし

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508: 彼岸

彼岸てふ場所に吾のゐぬ彼岸かなひがんてふ

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507: 水草生ふ(二)

水草生ふ微かに水を濁しつつみくさおふ か

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506: 水草生ふ(みづくさおふ みくさおふ)

水底の水草を隠し水草生ふみなそこの みく

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505: 春の水(二)

春水に泡の粒吐きクラムボンしゆんすゐに

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504: 春の水

春の水孕みて春の水生めりはるのみづはらみ

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503: 鰆(さはら)

沖の日にみな溶けゆけり鰆舟おきのひに み

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502: 山笑ふ

山笑ふ真下で海の笑ひをりやまわらふ まし

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500: 初午(二)

初午の鳥居を抜けて狐面はつうまの とりゐ

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499: 初午

初午やカップ酒添ふる狐ずしはつうまや カ

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501: 水温む

水温むそして水面の空景もみずぬるむ そし

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498: 東風(こち)

捨船や入日を磨く鰆東風すてぶねや いりひ

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497: 春の雪

淡雪やカキと鳴らして女下駄あはゆきや カ

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495: 蛇穴を出づ

蛇穴を出づ何といふ空の青へびあなをいづ

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494: 雛(三)

雛仕舞ふて人形茉莉子だけの部屋ひなしまふ

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493: 雛(二)

モボモガの笑みを知らずや昭和雛モボモガの

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492:

立呑みの卓にガラスの雛まろびたちのみのた

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491: 春雷

立呑みの酒徒みな黙し春の雷たちのみの し

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490: 猫の恋(二)

吶喊す牡猫恋を成就してとつかんす をすね

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489: 猫の恋

白猫にキジトラ恋をかぶせたりしろねこに

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488: 春の服

雑踏に蕾の解くるごと春装ざつたふに つぼ

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487: 野焼く

いさら小川野焼く炎に挟まれしいさらをがは

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486: 紅梅(四)

紅梅のしだれの撓ふみ寺かなこうばいの し

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485: 紅梅(三)

革命の成就の朝や薄紅梅かくめいの じやう

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484: 紅梅(二)

朱鳥居千本抜けて紅梅へあかとりゐ せんぼ

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483: 紅梅

紅梅が爆づ白梅のカンバスにこうばいがはづ

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482: 梅(四)

赤べべのおかつぱばかり梅の里あかべべの

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481: 梅(三)

梅剪りをり晴着のやうに喪服着てうめきりを

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480: 梅(二)

きらきらし黒塀越えて枝垂梅きらきらし く

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479:

老醜の枝にみづみづし梅の花らうしうのえに

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478: 余寒

マイルスの豆腐ラッパや路地余寒マイルスの

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477: 雪(八)

今生の雪ささめきてさざめきてこんじやうの

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476: 雪(七)

雪に掌のさしのべられて格子窓ゆきにての

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475: 雪(六)

降る雪や水子をつつむ油紙ふるゆきや みづ

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474: 雪(五)

降る雪や背に負ふ母の捨処ふるゆきや せに

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473: 雪(四)

降る雪や結びてほどく靴の紐ふるゆきや む

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472: 雪(三)

室外機粉雪を闇に吹きちらししつぐわいき

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471: 雪(二)

風と来て粉雪路地を曲りけりかぜときて こ

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470:

雪飛び来夕べの海の汽笛からゆきとびく ゆ

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469: 雪女郎(四)

雪をんな地吹雪捲けば白髪もゆきをんな ぢ

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468: 雪女郎(三)

うずくまる吾を覗きこみ雪をんなうずくまる

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467: 雪女郎(二)

雪をんなばかりの町に迷ひけりゆきをんなば

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466: 雪女郎(ゆきぢよらう)

死児抱きて慈母観音や雪をんなしじだきて

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465: 立春

春立ちぬ水子は水に流されてはるたちぬ み

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464: 追儺(つゐな)

無音てふ鬼の潜みて追儺の夜むおんてふ お

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463: 春隣(はるどなり)

ほほづゑのをんなを見たり春近し頬杖の女を

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462: ジャケット

アノラック頭に被されて曳かれをりアノラッ

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461: 寒鴉

寒鴉群れて膨らむ大樹かなかんがらすむれて

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460: 冬の雷

イヤホンの怨歌に雑じり冬の雷イヤホンの

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459: 寒椿

また一つ朝日に爆ぜて寒椿またひとつ あさ

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458: 寒月(二)

寒満月わが酔眼を撃ち貫けるかんまんげつ

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457: 寒月

寒月に脈打つ紺や向つ山かんげつに みやく

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456: 冴ゆる

くづほれてつくばふ路地や月の冴くづほれて

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455: 寒夕焼

ぴしと罅入りてあやふし寒夕焼ぴしとひびい

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454: 凍蝶(いててふ)

凍揚羽廃墟崩るるごと崩れいてあげは はい

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452: 悴む

悴むもなほ鉄壁に爪立てりかじかむも なほ

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453: 風花

鉄棒の錆の匂ひの風花やてつばうの さびの

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451:

てのひらにあられのはぬるまばゆさよ

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450: 煮凝

煮凝の闇に切身の煮凝りぬにこごりのやみに

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449: 寒燈(三)

煮凝の闇寒燈を塗り込めしにこごりのやみ

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448: 寒燈(二)

波止を打つ濤寒燈に立ちのぼりはとをうつな

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447: 寒燈

寒燈の貼りつく椅子や無人駅かんとうの は

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445: 寒鯉(二)

寒の鯉うごかぬために尾を揺らしかんのこひ

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446: 寒鯉

寒鯉の頭に寒鯉の頭が凭れかんごひのづに

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443: 冬の波

砂の死魚冬の怒濤を聴き澄ますすなのしぎよ

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444: 牡蠣

牡蠣啜る盃のごと小指立てかきすする さか

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442: 冬鴎(二)

臨終の涙を少し冬鴎りんじゆうの なみだを

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441: 冬鴎

大濤に群れては離り冬鴎おほなみに むれて

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440: 十日戎(とをかゑびす)

福笹に縁なき福がぶらさがりふくざさに え

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439: 冬の星

寒星のくわらりと回りすぐ戻るかんせいの

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438: 初電話

ゴメンネゴメンネハーイと切られ初電話ゴメ

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437: 七日

七日暮るる手窓をよぎるポンポン船なぬかく

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436: 六日

海烏六日の癪を飛ばしをりうみがらす むい

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435: 五日

鬱積の決壊を待つ五日かなうつせきの けつ

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434: 四日

出勤の列に異物の吾ぞ四日しゆつきんのれつ

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433: 三日

三日かな指もて砂に風と書くみつかかな ゆ

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432: 二日

三味の音の漏れて二日の虫籠窓しやみのねの

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431: 元日

元日やS字に曲がる鳥の首ぐわんじつや S

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430: 年越

吐ききれぬ吐気をつれて年越せりはききれぬ

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429: 焼鳥

焼鳥の串に刺しありわが憤怒やきとりの く

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428: 師走

防災無線師走も家路鳴らしをりばうさいむせ

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427: 炬燵

電気炬燵あんただあれと母が聞くでんきごた

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426: 極月(ごくげつ)

極月や浮魚攫ふ羽の音ごくげつや うきうを

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425: 嚏(くさめ)

海峡の向かふのものか遠嚏かいけふの むか

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424: クリスマス

聖菓買ふ三つ編み固く結ひし子とせいくわか

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423: 枯野

大枯野われとわれとが擦れちがふおほかれの

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422: おでん

無愛想の愛想がおでんでんと出しぶあいその

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421: 冬至

冬至の日妊婦の正中線を逸れとうじのひ に

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420: 風呂吹

風呂吹や少女に積る五十年ふろふきや せう

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419: 雑炊

無為の日をアウフヘーベンして雑炊むゐのひ

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418:

銀狐けんけんしては振りかへるぎんぎつね

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417: 白鳥

寂寞へかうべを垂らし白鳥じやくまくへ か

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416: 第九

胡麻塩の恥毛も戦ぐ第九かなごましほの ち

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415: 凩(こがらし)

凩やじつと吾を追ふ農夫の目こがらしや じ

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414: 山茶花(二)

眠りつつ笑む子の笑みを紅さざんかねむりつ

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413: 山茶花(さざんか)

白さざんかかの世の夢をうつし世にしろさざ

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412: 冬ざれ

ドラム止む喇叭のソロの冬ざるるドラムやむ

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411: 寒さ(二)

ブナシメジさへ膝を抱く寒さかなブナシメジ

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410: 寒さ

今朝蟲となつて目覚むる寒さかなけさ むし

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409: 短日(二)

いもうとに逢はぬ日続く日短かいもうとに

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408: 短日(たんじつ)

やがて逝くひとにつき添ふ短き日やがてゆく

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407: 十二月八日

電飾の燈に立つ十二月八日でんしよくのひに

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406: 霜月

霜月や列車の窓に明くる門司しもつきや れ

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405: 落葉

落葉すや場末に死者の吹きだまりおちばすや

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404: 冬の雲

冬の雲ソドムの市を孕みたるふゆのくも ソ

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402: 時雨(四)

おしろひを塗つて笑へば大時雨おしろひをぬ

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401: 時雨(三)

しぐるるや女装とやらをしてみるかしぐるる

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403: 時雨(二)

時雨聴き澄まし社宅の兄いもとしぐれききす

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400: 時雨

一島に茜を残し片時雨いつたうに あかねを

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398: 銀杏落葉

子と母の褥のいてふ落葉かなことははの し

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396: 帰り花(二)

白玉の待針を刺し帰り花しらたまの まちば

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397: 紅葉散る(二)

散紅葉三の鳥居をこぼれけりちりもみぢ さ

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395: 紅葉散る

浮ききれず沈みきれずに散黄葉うききれず

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393: 芭蕉忌

時雨忌に飲むどんじりの弟子としてしぐれき

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392: 帰り花

あかねさす日にきらきらし帰り花あかねさす

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391: 小春(二)

小春伊予寝酒をせよとベンチありこはるいよ

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390: 小春

小春日や手窓にトランペットの燦こはるびや

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389: 七五三

見つめくる無心がまぶし七五三みつめくる

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394: 石蕗の花(二)

花石蕗や海から目離さぬ墓標はなつはや う

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388: 石蕗の花(つはのはな)

大煙突立つ廃島や石蕗日和だいえんとつたつ

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386: 初時雨

鉈の柄の黒ずみに撥ね初時雨なたのえの く

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385: 鵙の贄(もずのにへ)

鵙の贄鵙のゐぬとき果実めくもずのにへ も

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384: 紅葉(三)

鳥の目にけふの紅葉の流れをりとりのめに

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383: 紅葉(二)

浮紅葉澱む紅葉とすれ違ふうきもみぢ よど

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382: 紅葉

夕紅葉明きは走る水ばかりゆふもみぢ あか

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381: 立冬

自覚なき悪意をつれて冬来るじかくなき あ

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380: 暮の秋

朝酒のとろりと澄みて暮秋かなあさざけの

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379: 秋深し(七)

水の面の空景さらに秋ふかしみずのもの く

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378: 秋深し(六)

鳥墜つる白き軌跡や秋ふかしとりおつる し

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377: 秋深し(五)

鳥騒の中の舟葬秋ふかしてうさうのなかの

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376: 秋深し(四)

モノローグばかりの会話秋ふかしモノローグ

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375: 秋深し(三)

梵鐘の音のげんこつ秋ふかしぼんしようの

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374: 秋深し(二)

逢ふたびに老けゆくをんな秋ふかしあふたび

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373: 秋深し

腹見せて流るる鮒や秋ふかしはらみせて な

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372: 蜜柑(みかん)

マジックで蜜柑に書きてあり ごめんm(_ _)

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371: 秋の日(三)

秋の日を人形かりと噛みにけりあきのひを

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370: 秋の日(二)

ギター爆ずる大音響や秋落暉ギターはずる

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369: 秋の日

水底に揺れて水面の秋日影みなそこにゆれて

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368: 秋高し

山山にチャイムの谺秋高しやまやまに チャ

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367: 秋思

貝殻の螺旋に詰まる秋思かなかひがらの ら

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366: 菌(きのこ)

きのこ飯けふの屠殺をまぬがれてきのこめし

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365: 冷まじ

冷まじや吹き寄せられし阿波の星すさまじや

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364: 後の月(のちのつき)

森くすくす月くすくすと十三夜もりくすくす

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363: 夜寒

濤音が濤音かぶる夜寒かななみおとが なみ

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362: 柿(二)

次郎柿紫檀の卓に眠りをりじらうがき した

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361:

巫女鈴のしやらんしやらんと柿たわわみこす

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360:

白菊や老婆に太き喉仏しらぎくや らうばに

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359: 林檎

林檎てふよりくれなゐの持ち重りりんごてふ

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358: 秋の山

鳥騒の谺をわかし秋の山てうさうの こだま

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350: 敗荷(やれはす)

ハンパない崩れがすがし破れ蓮ハンパない

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357: 秋祭

をとこしの怒声に浮かび秋神輿をとこし(男

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356: 馬鈴薯

馬鈴薯のただ在るといふをかしさよじやがい

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355: 霧(四)

もつれあふ濃霧を梳きて朝茜もつれあふ こ

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354: 霧(三)

沼消えてざんざざんざと霧の音ぬまきえて

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353: 霧(二)

夜の海へ大河の霧のなだれをりよるのうみへ

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352:

霧速し荒磯へ吼ゆるサキソフォンきりはやし

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349: 鰯(二)

死の味のなまめかしくも秋鰯しのあぢの な

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348:

ことごとく斬首の刑に鰯らはことごとく ざ

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347: 鰯雲

満天の鰯雲消ゆ飯待つ間まんてんの いわし

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346: 秋の海

秋濤やときどきごぼと鳴る昭和しうたうや

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351: コスモス(二)

昼月に蒼穹透きて秋桜ひるづきに さうきゆ

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345: コスモス

コスモスや下校を待てる山の駅コスモスや

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344:

露の玉いつもあやふきところにゐつゆのたま

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343: 宵闇

島の灯を流して船は宵闇へしまのひをながし

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342: 曼珠沙華(四)

白曼殊沙華を嬲りて曼殊沙華しろまんじゆし

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341: 曼珠沙華(三)

ごんしやんの柩や彼岸花いつぱいごんしやん

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340: 曼珠沙華(二)

黒と赤浅川マキと曼珠沙華くろとあか あさ

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339: 曼珠沙華

黒蝶の夢を啜りて曼珠沙華こくてふの ゆめ

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338: 十六夜(いざよひ)

白雲に黒雲ながれ十六夜しらくもに くろく

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337: 名月

しめやかに瘴気を吐けりけふの月しめやかに

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336: 待宵

待宵の月に軋めき船溜まつよひの つきにき

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335: 月(二)

卒都婆小町月に万歳してけんけんそとばこま

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334:

月の海海面の月の揺れゐたるつきのうみ う

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333:

綺羅星や廃市をつつむ蟲浄土きらぼしや は

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332: 甘蔗(さたうきび)

甘蔗刈るやイエスの顔を持つゲバラかんしや

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329: 秋の燈(二)

秋の燈に黄ばめる刻やドグラ・マグラあきの

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328: 秋の燈

秋の燈の一ツにソープ紅楼夢あきのひの ひ

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330: 花野

ゆふばえの花野がきうと消え臨終ゆふばえの

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331: 夕月夜

海坂に入日の熾や夕月夜うなさかに いりひ

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326: 弟切草

指さして弟切草と姉がいふゆびさして おと

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325: 夜長(二)

長き夜を眠りつすすり泣く妻よながきよを

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324: 夜長

醒めてなほ悪夢の匂ふ夜長かなさめてなほ

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327: 秋の夜

秋の夜の電話は来てといふばかりあきのよの

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322: 九月(三)

絶品のカツ丼に遭ふ九月かなぜつぴんの カ

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321: 九月(二)

背嚢に九月を詰めて闇市へはいなうに くぐ

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320: 九月

焼跡に燻るジャズや秋九月やけあとに くす

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319: 流星

流星の二つに割るる浄夜かなりうせいの ふ

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317: 鳳仙花

ぱんと爆ぜさう月蝕の鳳仙花ぱんとはぜさう

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316: 蜩(ひぐらし)

かなかなや昭和に曲がる煉瓦塀かなかなや

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318: 稲妻(いなづま)

稲妻にぺちやんこにされ夜の海いなずまに

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315: 法師蟬(つくつくぼふし)

釣れなくてツクツクボーシてふ爆弾つれなく

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314: 星月夜

宇宙とは弥勒の夢か星月夜うちゅうとは み

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313: 風の盆

風の盆この世があの世かも知れぬ

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312: 線香花火

手花火やチャッと爆ぜたる子の命てはなびや

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311: 花火(三)

遠花火みな哀しみの毬となるとおはなび み

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310: 花火(二)

夜のいきれ海のいきれを初花火よるのいきれ

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309: 花火

崩れゆく花火を貫きて花火かなくづれゆく

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308: 晩夏(夏)

金網にペットボトルを刺し晩夏○ゴーヤこの

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306: 夕焼(夏)

夕焼けてムンクは耳を塞ぎをり○ネタは見え

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305: 帰省(夏)

一重瞼二重になして帰省せりひとへまぶた

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304: 地蔵盆

「まんまんちやんあんあん」おしな地蔵盆○

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303: 昆蟲採集(夏)

補蟲網砂丘の月を掬ひけりほちゆうまう さ

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302: 蟬(又)(夏)

藤圭子命日  蟬の死の久遠の闇のかろさか

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291: 茄子(夏)

焼茄子の己が重さに腹裂けりやきなすの お

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301: 流燈

ためらはず流燈島を離れゆく○これでお盆の

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300: 精霊舟(しやうりやうぶね)

いかがです精霊舟の乗り心地○スーパーの花

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299: 踊(盆踊)

鬼の血の流るる巫女も踊りをり○あと何回か

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296: 施餓鬼

学僧の熱湯尿る施餓鬼かながくそうの ねつ

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297: 燈籠(とうろう)

白燈籠白木の墓を囲みけり○昨夜はコオロギ

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295: 八月

八月や仏間に並ぶ遺影四ツ○終戦日です。

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294: 霊棚(たまだな)

蒼穹を孕みて反りし茄子の牛さうきゆうを

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292: 迎火

燃えて鳴る苧殻や鼻に鳴る軍歌もえてなるを

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293: 墓参(はかまゐり)

墓洗ふ生きてりやヤクザ映画論

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289: 甚平(夏)

甚平や恋は八十路に残しおくじんべいや こ

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290: 浴衣(夏)

浴衣ドレス小ぶりの鼻に針を刺し○ガングロ

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288: 蟬(又)(夏)

黙禱のサイレンに滲み蟬しぐれ

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287: 向日葵(夏)

ひまはりの顔に刺しあり二寸釘○歳時記では8

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286: 星祭

蒸気汽罐車ニテ来ラレタシ星祭○今朝の秋(

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285: 蟬(二)

ヒロシマや耳殻をゑぐる蟬しぐれ

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283:

夢の蟬そのまま朝を鳴き継げる○七夕祭地域

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284: 夏草

友の忌日  べうべう夏草ボロ風は吹き止ま

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282: 日焼

日焼少女黒目白目のよく動く

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281: 夏の日

夏の陽の金属音や白砂濃し

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280: 炎昼

炎昼夢兵士はまたも崩れ落つえんちうむ へ

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278: 炎天

ぐわらぐわらと頭蓋を鳴らし炎天へぐわらぐ

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277: 昼寝(二)

無防備のをんなや薄目して昼寝○台風心配し

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276: 昼寝

尼ごぜの剃り青々と三尺寝あまごぜ(尼御前

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275: 焼酎

指の血をひとつぶ垂らし芋焼酎

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274: ラムネ

ラムネ玉ラムネより青一つ濃き

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273: 夜店

なまぐさき少女の湧ける夜市かな

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272:

月の瀧わきのぼりつつ落ちにけり○笹ヶ峰コ

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271: 冷奴

受難曲了へ基督は冷奴じゆなんきよくをへ

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270: 梅雨明

籠りゐて開かぬ窓や梅雨あがり

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269: 雲の峰

月を吐きなほ赫奕の雲の峰つきをはき なほ

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268: 夏の雲

うつくしく夏雲拒絶してをりぬ

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267: 風鈴

風鈴やつめたき尻を持つをんな○今日は、土

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266:

虹とメールす いいことあるよねと返事

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265: 初蟬

寺町や初蟬にして蟬しぐれ○暑い私が子ども

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264: 夕立

やねやねにゆだちのしぶくすがしさよ○レデ

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263: 日傘

妻退院パラソルしやつと開きたりつまたいゐ

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261: 七月

七月や少女の首の空気栓しちぐわつや せう

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260: 夏暖簾

濁声に嬌声応へ夏暖簾だくせいに けうせい

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259: 蛇(二)

申し訳ないけどあたし蛇なんよまうしわけな

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258:

夏藤の房に縺れて蛇雌雄なつふぢの ふさに

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257: 業平忌

美男の苦労如何ばかりかと業平忌びなんのく

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256: 夏足袋

夏足袋をしうしう鳴らし無言なりなつたびを

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255: 青簾

恋おほき叔母なりしかば青すだれこひおほき

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254:

身を巻きて天日に酔へる蝮かなみをまきて

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253: 夏の蝶

紅殻の格子を抜けて黒揚羽べにがらの かう

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252: 青葉(二)

フリュートに紫紺の線の青葉かなフリュート

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251: 青葉

青葉てふ虚空のマグマ落ちて来しあをばてふ

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250: 緑蔭

サクラコを憎めるリカも来て緑蔭サクラコを

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249: 夏木立

バスクラをフリュートに代へ夏木立バスクラ

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248:

汽罐車のけぶりの抜くる茂かなきくわんしや

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247: 蠅(二)

身悶えもならず蠅取紙に溶くるみもだえもな

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246:

蠅の来てわれ独房にゐるごとしはへのきて

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245: 蓮の浮葉

浮蓮や片目の白き錦鯉うきはすや かための

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244: 蛍(四)

明滅を挿して交尾の蛍かなめいめつを さし

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243: 蛍(三)

ひるぼたる孟宗竹と青を病むひるぼたる ま

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242: 蛍(二)

蛍はや逢魔ヶ刻を流れをりほたるはや おほ

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241:

二の滝の音の中とぶ蛍かなにのたきの おと

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238: 鰺(二)

姑娘の声のキラキラ鰺うましクーニャンの

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240: 冬の夜

素はだしのまま閉めだされ寒夜の子すはだし

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239:

鯵曰く頭は鳥にやつてくれあぢいはく あた

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237: 蟇(ひきがへる)

ひきがへる朝日を舌でからめとりひきがへる

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236: 夏至

しらはすのひとひら解けて夏至夕しらはすの

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235: 岩魚

釣師はや兵士の顔に岩魚沢つりしはや へい

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234: 桜桃忌

議論して殴りあふ日ぞ桜桃忌ぎろんして な

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233: 梅雨

青梅雨にけぶれる村や鶏つるむあをづゆに

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232: みづすまし

水の輪を切れば滑りてあめんばうみづのわを

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231: 蛾(二)

白蛾来し男たらしの仕草してはくがこし を

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230:

火蛾狂ひけり蝋燭火澄みにけりくわがくるひ

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229:

微笑の微てふ字の黴びて妻すやすやびせうの

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228: 五月闇

五月闇曳航の灯の流れゆくさつきやみ えい

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227: 紫陽花(三)

玉あぢさゐ黄傘開きしまま置かれたまあぢさ

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226: 紫陽花(二)

あぢさひになにかこみあげすぐにきえ昨日は

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225: 紫陽花

あぢさゐの藍たちまちに忘れらるあぢさゐの

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224: 夏の暁(二)

夏暁や藍に始まる太平洋なつあけや あゐに

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223: 夏の暁

夏暁の病舎に一つ小さき死なつあけの びや

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222: 短夜(五)

醒めてまた悪夢にもどる短夜ぞさめてまた

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221: 短夜(四)

刑場へ曳きずるやうに明急ぎけいじやうへ

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220: 短夜(三)

明急ぐきのふの海の冷めぬままあけいそぐ

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219: 短夜(二)

オートバイの爆音甘し明易しオートバイの

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214: 短夜

短夜の夢に金波の走り来しみじかよのゆめに

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217: 麦の秋(二)

麦秋や嫁に片づく二十八ばくしうや よめに

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216: 麦の秋

鴉とんだとたん圧倒的麦秋からすとんだとた

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215:

うづまくは鳥さかまくは麦穂波うづまくはと

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213: 山女(二)

塩焼か飴煮か山女釣りあげてしほやきか あ

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212: 芍薬

白芍薬花唇の翳もかがよはせしろしやくやく

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211: 山女

目が合ひしとたん逃げゆく山女かなめがあひ

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209: 更衣

更衣生意気な子はステーキにころもがへ な

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208: 罌粟坊主

愛執やかじりてにがき罌粟坊主あいしふや

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206: 罌粟(二)

焼跡の湯船を囲み罌粟の花やけあとの ゆぶ

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207: 罌粟

鎌首を擡げて罌粟のつぼみかなかまくびをも

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205:

筍に地の祝福の露しとどたけのこに ちのし

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203: マーガレット

あのころの少女等いづこマーガレットあのこ

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204: 若葉(二)

ばりばりと古葉を噛める若葉かなばりばりと

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199: 卯波

藍染の逢魔ヶ刻や卯波立つあゐぞめの あう

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201: 新緑

新緑や逆ハン切つてオートバイしんりよくや

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200: 若葉

若葉に沈め図書館の全活字わかばにしづめ

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202: キャベツ

赤ん坊の髪のにほひや新キャベツあかんばう

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198: 薄暑(二)

夕薄暑死んだをんなと酌みかはすゆふはくし

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197: 薄暑

老い少し美貌に混じる薄暑かなおいすこし

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196: 薔薇

あからひく朝日を透かし薔薇の首あからひく

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193: 豆飯

豆めしの豆キャピキャピとさんざめきまめめ

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195: 葉桜(二)

葉桜や臙脂のベレの子の利発はざくらや え

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194: 葉桜

葉桜の濁りの渦の訣れかなはざくらの にご

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192: 牡丹(三)

一瓣の真白をつつみ黒牡丹いちべんの まし

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191: 牡丹(二)

夕牡丹地獄草紙の火を吐けるゆふぼたん ぢ

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190: 牡丹

しらたまの割れておどろの牡丹かなしらたま

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189: 初夏

はつなつや運河に浮かぶラブドールはつなつ

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187: 五月

充実の野糞をしたる五月かなじゆうじつの

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186: 立夏

運動部ばかりの始発夏来るうんどうぶばかり

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185: 行春

小舟跳ねをり行春の壇ノ浦こぶねはねをり

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184:

燈を消して蛙のこゑにたゆたへりひをけして

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183: 春の夢(二)

春の夢金糸銀糸のもつれあふはるのゆめ き

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182: 春の夢

いもうとの処刑の朝を春の夢いもうとの し

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181: 躑躅

躑躅浄土すなはち躑躅地獄かなつつじじやう

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180: 春日傘

緋をつなぐ鳥居を春の日傘かなひをつなぐと

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179: 遍路

女遍路生死を賭くる目なりけりをんなへんろ

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178: 蝶(二)

黄蝶湧く眠れる妻の双耳よりきてふわく ね

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177:

少年の独り笑ひや蝶の昼せうねんの ひとり

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176: 青麦

お大師の鐘のかんかん麦青しおだいしの か

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175: 菜の花

黄泉路にも濃き菜の花のあらまほしよみぢに

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174: 風光る

初恋の叔母は喜寿とや風光るはつこひの を

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173: 亀鳴く

亀鳴くや鏡にぼくの仏頂面かめなくや かが

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172: 春の海(二)

航跡ののの字を書けり春の海かうせきの の

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171: 春の海

青波に夕靄を溶かし春の海あをなみに ゆふ

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170: 春の宵

春宵やぞろりと背を這ふ鬼畜しゆんせうや

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169: 鳥交る

鳥交る被さるはうはかろやかにとりさかる

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168: 春昼

春昼のくわらりと割るる眩暈かなしゆんちう

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167:

風止むも吹上げられしまま柳かぜやむも ふ

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166: 春暁

春暁や夢の中だけ来るをんなしゆんげうや

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165: 花見

お花見や刺身を盛つて洗面器おはなみや さ

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164: 長閑

をとこしの長閑をなごしの長閑かなをとこし

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163: 麗か

うららかや鴉声に混じる濃紫うららかや あ

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162: 鰆(さはら)

漁師談 鰆穫る舟は止めねばならんぞなさは

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161: 霾(つちふる)

霾やけふも元気におどろおどろつちふるや

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160: 竜天に登る

龍天に昇る夕べや豆腐ラッパりゆうてんに

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159: 花祭

おしやまして稚児のべべ着て花祭オシャマし

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158: 花(六)

吹き込める花磔刑の像に舞ふふきこめるはな

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157: 花(五)

アルバムにセピアの少女花ふぶくアルバムに

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156: 花(四)

海峡の彼岸此岸の桜かなかいけふの ひがん

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155: 花(三)

ちるはなの憑きてははなれ緋毛氈ちるはなの

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154: 花(二)

花冷てふミュートをつけてトランペットはな

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153:

おん顔にゑまひのほのか花の通夜おんかほに

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152: 紫雲英(げんげ)

げんげ野を乳の海にして夕あかねげんげのを

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151: 涅槃

かの人の息の絶えゆく涅槃かなかのひとの

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150:

寄す汐と寄す汐の音と霞みけりよすしほと

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149: 春の野

鍵盤を一つ鳴らして春の野へけんばんを ひ

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148: 椿

石落とすかに緋を落とし大椿いしおとすかに

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147: 陽炎(二)

かげろひて女は海に溶けにけりかげろひて

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146: 陽炎

ずたずたの線路を汽車来陽炎ひてずたずたの

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145: 春雨

春雨の鴎を並べ澪標はるさめの かもめをな

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144: 雲雀(二)

願はくば末期の耳にこの雲雀ねがはくば ま

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143: 雲雀

高窓に雲雀の声や蔵の中たかまどに ひばり

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142: 鳥雲に入る (鳥帰る)

モトちやんもフクちやんも消え鳥雲にモトち

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141: 彼岸

お彼岸や池心に眠る捨小舟おひがんや ちし

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140: 春炬燵

春炬燵エレキギターとジンと置くはるごたつ

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139: 春の服

春の服麗子微笑を微笑してはるのふく れい

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138: 春泥(二)

海鳴りの日や春泥の坂登るうみなりのひや

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137: 春泥

坂の下まで流れ来て春の泥さかのしたまで

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136: 春雷

夜の果ての旅と速記し春の雷よるのはてのた

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135: 春の雪(二)

気づかれぬほど朝酒を春の雪きづかれぬほど

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134: 春の雪

水底に青藻のゆれて春の雪みなそこに あを

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133: 山笑ふ

山笑ふ真下で海が笑ひをりやまわらふ まし

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132: 淡雪(二)

淡雪や薄紅ふふむ窓あかりあはゆきや うす

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131: 淡雪

淡雪や地蔵は赤き頬つかむりあはゆきや ぢ

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130: いぬふぐり

愛執や刺身のツマのいぬふぐりあいしふや

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129: 蛇穴を出づ

蛇穴を出づ絢爛の夢醒めてへびあなをいづ

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128: 春(二)

春の如く春のどよみに淀みをりはるのごとく

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127:

春や君のバッグにアガサ・クリスティはるや

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126: 啓蟄

啓蟄や女犯を好むわが酒虫けいちつや によ

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125:

鶯の夜どほし啼けり湖畔亭うぐひすの よど

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124: 雛(二)

水子地蔵ガラスの雛の供へあるみづこぢざう

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123:

揺るる灯に雛は息を整へりゆるるひに ひひ

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122: 紅梅(三)

しなやかに緋をくつがへし枝垂梅しなやかに

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121: 紅梅(二)

朝日に匂ふペットボトルや薄紅梅あさひにに

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120: 紅梅

紅梅の枝垂るるや雪の重みほどこうばいのし

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119: 梅(二)

しだれ梅高天原の息を吐きしだれうめ たか

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118:

梅が枝の蕾に寄せ目して妊婦うめがえの つ

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117: 野焼く

野焼の火ふと聖絶の火と思ふのやきのひ ふ

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116: 白魚

酢に跳ぬるしらうをの苦を啜りけりすにはぬ

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115: 春時雨

灯の消えししよんべん路地や春時雨ひのきえ

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114: 猫の恋(二)

一ト恋を終へ牡猫のなほ悪相ひとこひををへ

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113: 猫の恋

ウェルテルは勝手に死ねと猫の恋ウェルテル

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112: 春一番

目つぶりて抱きあふ母子や春一番めつぶりて

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111: 絵踏

かのひともじつと見守る絵踏かなかのひとも

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110: 二月(三)

銀幕のをんな脱糞して二月ぎんまくのをんな

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109: 二月(二)

二ン月やムカサリ絵馬のあの世妻にんぐわつ

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108: 二月

尖塔のクルスに立てる二月かなせんたふの

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107: 薄氷(うすらひ)

藁くづを浮かべしままにうすらひぬわらくづ

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106: 冴返る(三)

冴えかへるものの一つに親子丼さえかへるも

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105: 冴返る(二)

冴えかへるものの一つに堕落論さえかへるも

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104: 冴返る

ビル高層シャキーンと鳴つて冴えかへるビル

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103: 春寒

春寒や昭和の匂ふヌードショーはるさむや

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102: 早春

早春や瞼に当つる猫の蹠さうしゆんや まぶ

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101: 雪解(二)

雪解田に白富士浮くや空浮くやゆきげたに

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100: 雪解(ゆきどけ)

少年のソプラノ湧けり雪解靄せうねんの ソ

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99: 初午

初午や狐が化けた幼巫女はつうまや きつね

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98: 春浅し

春浅し屋根はトタンの立飲屋はるあさし や

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97: 雪崩

遠山に白雲湧きぬ雪崩なりとほやまに しら

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96: 立春

春立つやモヒカン刈の鳥飛び来はるたつや

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95: 豆撒

捨てきれぬ鬼畜の夢や鬼は外すてきれぬ き

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94: 春近し

キャッチボールの音のやはらか春近しキャッ

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93: 水仙

水仙の懈怠を映し水鏡すいせんの けたいを

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92: 凍蝶(三)

落としたる翅と添寝をして凍蝶おとしたる

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91: 凍蝶(二)

凍蝶に零下三度の夢崩るいててふに れいか

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90: 凍蝶

また一つ落つ凍蝶や岩庇またひとつおつ い

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89: 雪女郎(三)

ウインドーの緋靴に見とれ雪をんなウインド

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88: 雪女郎(二)

雪女幼児号泣恐怖症ゆきをんな えうじ がう

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85: 雪女郎

とらまへて紅差しやらむ雪をんなとらまへて

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87: 冬の蠅

地球儀のカリブの海の冬の蠅ちきうぎの カ

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86: 凍る

ホームレスの面々いづこ街路凍つホームレス

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84: 雪(七)

降る雪や眼窩に溜まる歯の疼きふるゆきや

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83: 雪(六)

少年の嗚咽をくるみ雪吹雪せうねんの をえ

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82: 雪(五)

ぬばたまの闇より飛び来雪の針ぬばたまの

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81: 雪(四)

街騒の一つに雪の閑さやがいさうのひとつに

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80: 雪(三)

街燈のそこだけ雪のしららかなぐわいとうの

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79: 雪(二)

雪降れり音なき鈴を鳴らしつつゆきふれり

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78:

浅川マキの死   ゆきゆきてゆきゆくゆき

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77: 雪催ひ

海坂や日の香の残る雪もよひうなさかや ひ

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75: 冴ゆる

冴ゆる夜の靴音どこへ運ばうかさゆるよの

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74: 冬の山

冬山や隠れ里めく過疎の村ふゆやまや かく

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73: 冬の雲

はらわただらり冬雲のでんでろりんはらわた

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70: 冬銀河

いま嗚咽したのは俺か冬銀河いま をえつし

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76: 十日戎

十日ゑびす杜に割鐘演歌鳴るとをかゑびす

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67: 初年兵入営

初年兵ハアと答へて撲たれをりしよねんへい

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72: 冬の月

森一つあらひざらひに冬の月もりひとつ あ

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69: 成人の日

髪結ひて来よ成人の日の水子かみゆひてこよ

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71: 冬の川

水黒むまで澄みにけり冬の川みづくろむまで

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66: 狐火

妻眠りをり狐火を吐きゐつつつまねむりをり

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65: 北風

夕北風大濤しぶき打ち振り来ゆふきたかぜ

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64: 姫始

耳つけて聴く心音や姫はじめみみつけて き

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63: 福笑ひ

福笑ひ水子の顔に目鼻なくふくわらひ みづ

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62: 手毬

手毬唄娘さらふて首はねててまりうた むす

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61: 初茜

初あかね闇の罅より滲みいづはつあかね や

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60: 年越

ラーメンのつゆギトギトの年越すやラーメン

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59: 行年

行年と胎児と靴と流れをりゆくとしと たい

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58: 年の瀬(年の暮)

年の瀬やヲタク・プチブル・テロリストとし

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57: 年の暮

家路てふ調べに憑かれ年の暮いへぢてふ し

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56: 年忘

おしまひは佳人の剣舞年わすれおしまひは

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55: 火事

号泣のをんなを晒し火事あかりがうきふの

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54: 寝酒

寝酒酌む猥歌をわれの応援歌ねざけくむ わ

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53: クリスマス

ジングルベル茉莉亜は路地に立ちどほしジン

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52: 囲爐裏

囲爐裏話昭和残酷物語ゐろりばなし せうわ

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51: ブーツ

ブーツかな颯爽の音おそろしきブーツかな

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50:

泣きをるや襖の奥の息づかひなきをるや ふ

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49: 枯木

おのづから折れて枯木の谺かなおのづからを

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48: 百合鴎

千匹の豚の悲鳴を百合鴎せんびきのぶたのひ

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47: 百合鴎

羽音ごと風に攫はれ百合鴎はおとごと かぜ

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46: おでん

股間やゝ弛める吐息おでん酒こかんやゝ ゆ

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45: 枯野

夕月と化す昼月や大枯野ゆふづきと くわす

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44: 枯野

荊棘線に髪のひらつく枯野かなばらせんに

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43: 毛糸

毛糸帽てふ迷惑を編む妻よけいとぼうてふ

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42: 枯蓮

枯蓮のひと葉ひと葉の滅度かなかれはすの

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41: 枯木

枯れて纏るイルミネーションてふ襤褸かれて

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40: 冬ざれ

冬ざれやベンチに足組むラブドールふゆざれ

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39: 熱燗

熱燗の仕舞ふ一と日やあつけらかんあつかん

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38: 熱燗

熱燗やジャズが持てくる日本海あつかんや

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37: 枯蘆

枯蘆の透間を貫きて群雀かれあしの すきま

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36: 初雪

初雪や血玉の混じる生卵はつゆきや ちだま

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35: 牡丹鍋

そこそこのをんなに好かれ牡丹鍋そこそこの

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33: 縄跳

縄跳の輪の抜けられぬまま老いしなはとびの

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34: 冬鴎

風濤に癪の込みあげ冬鴎ふうたうに しやく

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32: 冬鴎

冬鴎怒濤の隙の餌を狙ふふゆがもめ どたう

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31:

夕あかね凩鳴れば鳴るほどにゆふあかね こ

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30:

凩にあつちへ飛んでゐる少女こがらしに あ

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29: 落葉

コノコネコ落葉の瀞に沈みをりコノコネコ

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28: 冬の雷

満月を貼りつけ冬の雷震ふまんげつをはりつ

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27: 時雨

しぐるるやどこを見るともなく女しぐるるや

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26: 時雨

これつてしぐれか喇叭でひとを殺せるかこれ

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25: 憂国忌

老醜を晒しに街へ憂国忌らうしうを さらし

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24: 憂国忌

憂国忌擦れども点かぬ燐寸擦るいうこくき

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23: 帰り花

蝶も来て野は繚乱の返り花てふもきて のは

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22: 帰り花

桜紅葉の爛れに浮きて帰り花さくらもみぢの

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21: 石蕗の花

石蕗の黄と兵士の墓とばかりなりつはのきと

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20: 小春

ポケ壜の火酒が唄ふ小春かなポケびんの ひ

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19: 小春

小春日のかけらのごとし遠富嶽こはるびの

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18: 小春

椅子一つ突堤に置く小春かないすひとつ と

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17: 銀杏落葉

銀杏落葉黒猫ふつと笑ひけりいてふおちば

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16: 黄落

黄落や危篤の鼻に鳴る酸素くわうらくや き

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13: 紅葉

すがりつく水子の群や夕紅葉すがりつく み

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14: 七五三

髪結ひてなほ小生意気七五三かみゆひて な

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15: 紅葉かつ散る

紅葉かつ散る髪の逆立つまで閑もみぢかつち

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12: 紅葉かつ散る

紅葉かつ散つていろはにこんぺいともみぢか

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11: 柿落葉

おいらんが絹ぬぎちらし柿落葉おいらんが

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10: 十一月

断じて!と少年言へり十一月「だんじて!」

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9: 大綿(わたむし)

大綿に風なくも風らしきものおほわたに か

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8:

荒鷲の目に傾けり地平線あらわしの めにか

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7: 初冬

初冬やあつけらかんと海の青はつふゆや あ

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6: 冬立つ

冬立ちぬナイフの沈む洗面器ふゆたちぬ ナ

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5: 秋時雨

エロ本の捨てある杣や秋しぐれエロほんの

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3: 放屁蟲

生きるのも死ぬのも嫌じや放屁蟲いきるのも

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262: 伝言帖

「伝言帖」を開設します(2018年7月10日)

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